高周波。前回↓の続き。
インピーダンス
電気回路におけるインピーダンス $Z$ とは、電圧と電流の比 $\frac{V}{I}$ であり、次式で表される複素数である。単位は $[Ω]$ 。
\[ Z=R+jX \]
ここで、 $R$ は抵抗、 $X$ はリアクタンスと呼ばれる。$j$ は複素数である。ちなみに、電気の分野では電流に $i$ を使用するため、虚数は $j$とすることが慣例。
直流回路では位相が無いため抵抗のみを考えればよいが、交流回路を考える際にはインピーダンスを導入し、位相成分を考慮しなければならない。例えば、インダクタンス $L$ $[H]$ のコイルのインピーダンスは $jωL$ であり、キャパシタンス $C$ $[F]$ のコンデンサのインピーダンスは $\frac{1}{jωC}$ である。
(なぜ複素数を使うのか、といった話は長くなると思うので今回は割愛させて頂きます)
特性インピーダンス
高周波における伝送線路には、特性インピーダンスというものが存在する。ただの線路内に素子が分布していると考え、その素子のインピーダンスを表したものが、特性インピーダンスである。
例として、次の図で表される無損失分布定数回路モデルの特性インピーダンスを考えてみる。
ここで、 $L$ は単位長さ当たりのインダクタンス、 $C$ は単位長さ当たりのキャパシタンスである。 $dz$は微小長さであり、線路が微小区間に区切られていることを示している。
この回路においてキルヒホッフの法則を使うと、次式が得られる。
\[V=jωLdzI+(V+dV)\]
\[I-dI=I+jωCdzV\]
変形して$⇓$ \[-\frac{dV}{dz}=jωLI\]
\[-\frac{dI}{dz}=jωCV\]
である。この2式より、$I$を消去すると
\[\frac{d^2V}{dz^2}+ω^2LCV=0\]
となる。これを微分方程式で解いて、
\[V=V_i e^{-jω\sqrt{LC}z}+V_r e^{jω\sqrt{LC}z}\]
を得る。ここで $V_i$ 、$V_r$は定数である。第1項は$+z$方向に進行する波であり、第2項は$-z$方向に進行する波を表している。この式を、既に得られている $-\frac{dV}{dz}=jωLI$ に代入すると、
\[I=\frac{V_i}{\sqrt{\frac{L}{C}}} e^{-jω\sqrt{LC}z}+\frac{V_r}{\sqrt{\frac{L}{C}}} e^{jω\sqrt{LC}z}\]
を得る。これで、 $V$ と $I$ が分かった。インピーダンスとは電圧と電流の比であるから、特性インピーダンス $Z_0$ は、
\[Z_0=\frac{V}{I}=\sqrt{\frac{L}{C}}\]
となる。$L$ は単位長さ当たりのインダクタンス、 $C$ は単位長さ当たりのキャパシタンスであったから、線路の長さが変わると特性インピーダンスも変化する。線路の形状で特性インピーダンスが決定されるのである。
続きます。