今後の立ち回り日記

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最近思ったことを、気が向いたら書きます。

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高周波 インピーダンス整合

高周波。前回↓の続き。 scand.hatenablog.com

 

インピーダンス整合

インピーダンス整合とは、伝送線路において負荷に最大の電力を伝えるための条件である。下図のように、特性インピーダンス $Z_0$ を持つ線路とインピーダンス $Z_L$ の負荷を接続した回路で考えてみる。

f:id:scand:20200504211841p:plain

線路と負荷を接続した回路

ここでキルヒホッフの法則より、電流 $I$ は

\[I=\frac{V}{Z_0+Z_L}\]

電圧 $V_L$ は

\[V_L=\frac{Z_L}{Z_0+Z_L}V\]

となる。

\[Z_0=R_0+jX_0\]

\[Z_L=R_L+jX_L\]

のようにインピーダンスを実部(抵抗)と虚部(リアクタンス)に分けておくと、負荷での有効電力 $P_e$ は、

\[P_e=Re[V_LI^*]=\frac{R_L}{(R_0+R_L)^2+(X_0+X_L)^2}V^2\]

で表せる。( $I^*$ は $I$ の複素共役)

この $P_e$ を最大にする負荷 $R_L$ と $X_L$ の値が必要となる。まず、リアクタンスはマイナスの値をとり得るから、

\[X_L=-X_0\]

としてリアクタンス部分を0にできる。

すると残りは

\[P_e=Re[V_LI^*]=\frac{R_L}{(R_0+R_L)^2}V^2\]

となる。これを $R_L$ で微分すると、

\[\frac{dP_e}{dR_L}=\frac{R_0-R_L}{(R_0+R_L)^3}V^2\]

となるから、 上に凸の関数であり $R_L=R_0$ で極大(最大)値をとることが分かった。グラフにすると下記のようになる。

f:id:scand:20200523214854p:plain


よって、

\[Z_L=R_0-jX_0=Z_0^*\]

が負荷での有効電力を最大にする条件、インピーダンス整合条件である。

 

反射係数

長さlの伝送線路に負荷を接続した回路


後進波(反射波)に対する進行波の係数は反射係数 $Γ$ と呼ばれる。
上記の回路で、伝送線路における電圧を速度 $v$ の進行波と後進波に分けて考えてみる。

行波の振幅を $V_i$ 、後進波の振幅を $V_r$ とすると、 $V_L$、 $I_L$ は次式

\[V_L=V_i e^{-j\frac{ω}{v}l}+V_r e^{j\frac{ω}{v}l}\]

 \[I_L=\frac{V_i}{Z_0} e^{-j\frac{ω}{v}l}-\frac{V_r}{Z_0} e^{j\frac{ω}{v}l}\]

となる。これをオームの法則から得られる $V_L=Z_L I_L$ に代入すると、

\[V_i e^{-j\frac{ω}{v}l}+V_r e^{j\frac{ω}{v}l}=Z_L(\frac{V_i}{Z_0} e^{-j\frac{ω}{v}l}-\frac{V_r}{Z_0} e^{j\frac{ω}{v}l})\]

\[V_r=V_i\frac{Z_L-Z_0}{Z_L+Z_0}e^{-2j\frac{ω}{v}l}\]

となるから、反射係数 $Γ$ は、

\[Γ=\frac{Z_L-Z_0}{Z_L+Z_0}\]

で表せる。つまり、インピーダンス整合している状態とは、反射波が最も小さくなっている状態と言い換えることもできる。反射波が最小のとき、電力を最も効率よく伝えられるのである。